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- 2012年05月 『父』
- 私が高校1年生の時、夏の思い出です。
友人と和歌山県へオートバイでツーリングに出かけることにしました。
(テント寝袋持参しての2泊)
海岸沿いの国道を気持ちよく走行していました。
高校生の私にとって、親元を離れ解放感に酔いしれている最高のひと時でした。 その時…
ファーウォー!
白バイの音が聞こえ捕まってしまいました。 35キロオーバー!!
未成年のため罰金はありません。 ただし免許停止処分と家庭裁判所での判決があります。
私の父は今でこそ温和な老人ですが、当時はまだ恐ろしく怖い存在でした。
当時の私には、何一つ怖いものはなかったのですが、父だけが恐ろしく怖かったのです。
父に殺される、家に帰れない…と感じていました。
自宅までの道のりが辛く「このまま永遠に家に到着しなければいいのに」と、真剣に考えていました。
自宅に到着…
普段仕事で自宅に居ないことが多い父が、なぜかこの日は居たのでした。
黙っていても、必ずバレル。 覚悟を決めて報告しました。
「歯をくいしばれ!」
”ビシッ、ビシッ、ビシッ ”
3発の強烈なビンタ…。
隣に居た友人が「僕も悪いんです」と駆け寄りました。
父からのお仕置きも終わり、報告も出来たので、私は何故かホッとして 「もう家に帰れないと思った」と父に伝えました。
「お前がどんなに悪いことをしても、お前の帰ってくる所はここだよ。」
父は強く抱きしめてくれました。
涙がとめどなく流れ、友人も交えて三人で泣いてしまった思い出のお話でした。