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- 2011年01月 『ダウン症という知的障害児に恵まれて~その5~龍真5回目の手術』
- 聴覚の弱い龍真は6年ほど前に耳の手術をしました。その後、あまり症状の改善が見られず、先生から「このままだと良くはならないが悪くなる可能性は大きいです。」と告げられました。手術をするということは、龍真の大好きなスイミングを1年以上休むことになります。「生後6ヶ月からスイミングを始め10年間かけてやっとクロールで25メートル泳げるようになったのに…」という私の想いが手術のタイミングを今まで遅らせていたのです。
今回の手術は耳の手術だけではなく、とてもとても大きな扁桃腺とアデノイド(咽頭扁桃)の切除と告げられました。術後は夜中の寝苦しい症状も軽減でき、耳の聴力も改善され、苦手な言葉の発声にも良い影響が期待できるかもとの事でした。前述のプールのこともあり悩みましたが、龍真の聴覚が良くなるのならと覚悟を決めたのでした。龍真には何度も繰り返し手術の説明をしました。
龍真は「みみ のど しゅじゅつ なおって プール」何度も繰り返していました。わたしは「先生からプールに入ってもいいと言ってもらえたらね」と伝えますが、龍真には、とても長い期間プールに入れないということを理解はしてもらえないままです…
無事手術は終わりました。麻酔からさめてくるころ錯乱状態になり点滴のチューブを抜こうとして怒り狂う龍真を妻と2人で2時間ぐらい押さえつけるという大変な、状態がありました。小さなお子様なら体を固定出来るのですが、龍真ぐらいの体格になると出来ないらしく手術後の大変さを感じました。その後1週間ぐらい喉が痛くてほとんど食事が取れない状態になり(おかゆは気に入らなくて食べませんでした)ました。
入院中に龍真がとても気になっていた女の子(ほとんど寝たきりで、体を動かせない)がおられました。暇さえあれば龍真はその女の子の様子を見に行っていました。私がその女の子に目を合わせようとしても、合せてくれず、さようなら、と手を振っても反応がありませんでした。ところが龍真が「バイバイ」と手を振ると、なんと「バイバイ」と返してくれたのです。
この女の子はしっかりとわかっているのだと知り私は、ドキっとしました。龍真と女の子に教えられました。あなたたちはすばらしい感性を持っているのだと・・・
ありがとう。龍真、そして女の子。さまざまな特徴を持ったお子様たち、バンザイ。